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事業承継とは

「事業承継」とは、前述の通り、会社の経営を現在の経営者から別の後継者へと引き継ぐことをいいます。
単に代表者を交代するのみならず、事業にかかわる経営権から資産にいたるまでの一切を後継者へ承継することを事業承継といいます。

事業承継の種類

親族内承継(子息等に承継する)

相続などの観点からも、最も望ましいのが子息等の親族への事業承継です。

20年以上前であれば、この子息等の親族への承継が事業承継全体の9割以上を占めていましたが、既にお伝えした中小企業の後継者の現状からもわかるとおり、後継者不足によって親族への承継は減っており、現在は、全体の6割を切っています。

後継者不足の主な理由としては、高校を卒業したら大学に進学するというのが一般的になった結果、親が会社を経営していても、子息は大学卒業後に大手企業に就職したり、医師や弁護士、公認会計士といった専門職に就くなど、後を継ぐことを前提としない人生を歩むケースが増加したことが挙げられるでしょう。
経営者である親が子息に継いでもらう前提でいたとしても、親の苦労を近くで見てきたことなどから、子息本人には全くその気がないというのはよくある話です。

親族外承継(自社役員・社員に承継する)

子息等の親族への事業承継ができない場合、次に候補として挙がるのが自社役員・社員への承継です。

しかし、これは主に資金の面で、かなり困難な選択肢となる場合が多いです。
というのも、黒字企業で無借金経営などの場合、譲渡価格が高額となるため、後継者にとって購入代金の調達が難しくなります。
一方、借入金の大きな企業の場合、譲渡価格は比較的低く抑えられますが、借入の連帯保証や担保提供で不足が生じるのが一般的で、仮に連帯保証や担保提供の能力があっても、後継者候補にそれを背負う覚悟がなく、結果として断念してしまうケースも多くあります。
つまり、自社役員・社員への承継は、よほど資産を持った人がいなければ難しいということになります。

また、仮にそのような役員・社員がいたとしても、そもそも、その人に経営能力があるかという問題もあります。部下としては非常に優秀であっても、経営者として同様に優秀とは限りません。冷静に考えた結果、後継者として任せられないと、事業承継を諦めるケースも多いようです。

M&A(第三者企業に承継する)

子息等の親族や親族外の自社役員・社員への事業承継ができない場合、残る選択肢は、M&Aによる第三者企業への事業承継です。
M&Aによる第三者企業への事業承継では、従業員の雇用や取引との取引関係を維持できるのはもちろん、売り手側と買い手側の双方の資本や人材、ノウハウ、販路を活用して、両者をより大きく発展させることができる可能性もあります。

日本では、まだまだ社外の第三者へ会社を譲ることに抵抗感があり、身内に事業承継できない場合は「廃業」を選択する経営者も多いようですが、「廃業」を選択すると、従業員は、働き口を失ってしまい、取引先にも多大な迷惑をかけてしまいます。

また、第三者への事業承継は、「廃業」と比べて、日本経済にも圧倒的な利益をもたらす引退方法であるため、中小企業庁もM&Aによる事業承継を推進しており、中小企業におけるM&Aの実施件数は年々増加傾向にあります。

事業承継で失敗しないために

「誰に、いつ、どのように」事業承継するかという方針をしっかりと決め、後継者の確保を含む準備に早めに着手することで、円滑な事業承継の実現が可能となります。

事業承継に取り組んでいくにあたっては、とにかく「早めの相談」がポイントです。まずは信頼の置ける相手に相談してみましょう。